ばらの花

12月末くらいから仲良くしていた大学生が上京する。出会った時から分かっていたことだったけど、寂しい。いろんなものが好きでいろんな人が好きでよく食べるしよく本を読む。その子は村上春樹が好き。一緒に本屋に行った帰りに何を買ったか話していて、で、これはプレゼント、と一冊渡されたのが村上春樹の短編集だった。開いて何ページかめくるとその子の苗字を冠した短編がひとつ入っていて、漫画かよ!と思った。

最近はバタバタしていてちょっと晩御飯を食べるくらいだったけど、日曜日で最後になりそうということで昼過ぎから私の希望で水族館に行ってきた。最後だと意識しないようにしてたけど、ふと明るい色の花束を渡されてうっかり泣きそうになっちゃった。どうしようもない私は感傷的な空気が嫌いでいろんな瞬間を笑い飛ばそうとばかりしてしまったけど、帰りの車ではまともに口も聞けなかった。

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どうすればよかったのかはまだ全然わからない。これでよかったんでしょうか。美談だけど、美談になるくらいならもっとこう、といろいろ思っては消えて、大人ってこうやって元気になっていくんだろうけど、私はまだ大人になれないので全然無理です。

新生活が始まれば彼もきっとすぐに忘れていくだろう、私もめまぐるしい年度替わりを切り抜けて春が来れば、飄々と生きていけるようになる?なんでもないふりして?

チキンレースだったんだろうか、もしかして。

25歳、あまりにも非現実的な未来にはベットできなかったし、でも、25歳、踏み込むなら今だったのかな、とも思った。愛してたよなんて自作自演のチープなエモだ、今更、言わないでくれた方がよかった。何を言っても今更だけど、細かい分別は置いといて、私だって大好きだったのに、春はやっぱりさびしい。

 

安心な僕らは旅に出ようぜ

思い切り泣いたり笑ったりしようぜ

僕らお互い弱虫すぎて

踏み込めないまま朝を迎える

 

ばらの花

ばらの花

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