つよがり

この時期、毎週土曜の午前中はおおむねコインランドリーにいる。洗濯は家でして、もっぱら30分の乾燥コース、間には近くのスーパーへ行って買い物を済ませて、乾燥が終わった頃に戻って回収、帰宅するというのがルーティン。ただ、今日に限っては洗濯物の量がいつもより少なく、20分で済みそうだなと思ったこと、スーパーで買うものも特にないなと思ったことがきっかけで、コインランドリー内のベンチに腰掛けて時間を潰していた。

毎週使っていても別の客が来ることはほとんど無い。たまに人が来ることはあれど、長く言葉を交わすことはまずない。しかし今日に限っては、途中でおじいさんが1人ふらと入ってきて、乾燥機の中身を回収し始めた。

こんにちは、今日は寒いですねということを言われたので簡単に挨拶を返した。なんでも一人でやらないといけなくなってしまって大変だ、妻に先立たれてまだ1ヶ月くらいで、それでも洗濯物は溜まるからねと言葉が続いた。

やらなきゃいけないことがあると気が紛れていい、まだ四十九日も済んでなくて…洗濯の後に毎回ここへ来るのは大変だから、乾燥機付きの洗濯機を買わないといけないかもね、と笑顔でぽつぽつ語ったあと、その人は去っていった。あのときどう返すのが正しかったのか、どんな顔をするのが正しかったのか、いまだに分からない。単純ないくつかのポーズで生きているからこんなことになる、いつも!

一人になったコインランドリー、洗濯機と乾燥機の回る音とClimb The Mindのつよがり。


Climb The Mind / つよがり