心を折りたたみながら生きている。家に帰り着くたびに、俯いて、ああ今日もよく畳んだな、と思っている。こんなに小さく小さく折りたたんだ先が、どうなるのかわからない。せっかくだから、鶴にでもなったらいいと思ってる。鶴だったらどうだろう、こんな心の行き先が、もしかしたら祈りを背負って、どこかへ飛んで行ったらいいよね。水平線ぎりぎりの低空飛行でもいい、どうにか弾いて、溺れず飛んでくれれば、それでいいから、という歌をつくりました。

録音はとても完璧とは言えない出来だったけど、とにかく早く載せたくて週末に録りました。不思議なもので、作れば作るほど自分にとって都合のいい歌、というか、聴きたかった言葉が書けるようになってきた。変かもしれないけど、何度も何度も聴いて、自分の励みにしている。少しの他力本願と、辛さを笑い話に出来るような歌をね、作り続けたい。早く新しい歌を作りたい。原動力はありふれた辛さで、ださいかもしれないけど、自分が救われればなんでもいい。運良く誰かも救ったらいいね。

 

鶴になったらいい

半分

四分に折りたたんだ

心が頭をもたげて

強がった尾を立てた

 

鶴になったらいい

あてどなく折りたたんだシワでも

いつか形になりますように

 

鶴になったらいい

祈りを込めて せめて

羽を伸ばして

どこへも行けないってなんだ

鶴になったらいい

祈りを込めて せめて

羽を伸ばして

水平線を弾いて飛べ

折り目を合わせて

 

鶴になったらいい

角と角を合わせて

爪を立てて

丁寧にするほど恐ろしいよ

 

鶴になったらいい

八分

十六分

見えなくなるまで続けば

許されるのか

 

これだけ軋めば

もう間もなくさきっと

穴でも開いてしまえばいっそ

他人事みたいだ

 

あっちもこっちもうるせえなあ

大丈夫 いまは なにも

また一折り、二折り繰り返す

丁寧に

 

鶴になったらいい

祈りを込めて せめて

羽を伸ばして

どこへも行けないってなんだ

 

鶴になったらいい

祈りを込めて せめて

羽を伸ばして

水平線を弾いて飛べ

折り目を合わせて


宮沢一里「鶴」