10月のあなた

こんな夢を見た。前日飲み過ぎたらしく病院で目を覚ました私は、差し入れの柿を食べていた。熟しすぎて美味しくないそれの中からは、とげだらけの何かが出てきた。今思えば、あれは栗だったんじゃないかと思う。食いしん坊で笑えた。もっといろんなことが起こった気がするけど、いろんな人が出てきて、とにかくそんな夢が重くて、昼過ぎに起きた。

 

いつぞやの日記で書いた通り、死に弱い。とっても弱い。

rinnnnna.hatenablog.com

数年前、友人を亡くしたことがある。バンドを組んでいた。月日が流れて、だんだんと悲しみは遠くなっていくけれど、決して薄くなるものじゃない。というより、薄まらないでほしいと思ってしまう。弱いかな。最近その人のことを知っている子と知り合って、その話をする機会が少しだけ増えて、ふと思い出すことも増えた。でも思い出すってことはそれだけ奥の方にしまわれるようになってしまったってことだ。それがとても薄情な気がしてやりきれないこともあった。でも遠くなっただけだ。タブーにせず、たくさん思い出話をしたいと思う。あの時泣いてしまって話せなかったいろんな話も、今なら出来そう。願ったって届かないことがあることはもう充分すぎるくらい思い知らされた。思いとは裏腹に、日々はめまぐるしく過ぎていくから、いろんな感情が積み重なって埋もれて、なんかどんどん感度が鈍くなっている気がする。心を自分でとらえきれないと不安になる。

人間って声から忘れちゃうらしいよ。ってほんとかよ。何年経っても名前を呼ぶ声も笑い声もなかなか忘れられなくって、だから安心する。執念深いなぁ、ずるいなぁ。だってどう頑張っても綺麗な記憶だもん。何十年経っても、数年しか経っていなくても、かっこよかったよなずるいなあいつはって何回でも話して何回でも自慢したいんだ、でもそれは全然悲しい気持ちからじゃなくて、言いたいだけの話なんだよ、あー。もちろん、悲しくなる時もあるけどね!一進一退!

言葉にしたら薄っぺらくなるんだろうか、言葉ってそんなに薄っぺらいのか。そうかな。それでも今まで何度も薄っぺらな言葉にしたり、するのをやめたり、一進一退でしたよまじで。今だってそうだ、書いたってなにが書きたいかよくわかんなかったな、いつかは手紙のようにきれいな文に出来たらいいけど。誰かにわかってほしいわけでも伝えたいわけでも悲劇ぶりたいわけでもなく、私にとって、ただただ頭の中を整理するために必要な過程。言葉は無力だけど、薄っぺらなんかじゃないと思う。少なくとも、書く側にとってはそうだ。いつでもそうではないかもしれないけど、いつかはそうだといいね。

 

欲しい物がたくさんあった気がする。服とか家具とか化粧品とかCDとか。でも何を見ても今はピンと来なくて、物欲の行き場がない。今は光るものが欲しい。お祭りとかでもらえる、なるべくちゃちな、指輪とかほしい。本気。なんか痛い女っぽいな、けっこう痛い女だよな、でも許してほしい!なんとなく見逃してほしい。毎晩寝る前に電球の形をしたおもちゃを虹色に光らせて眠る。ちゃちい灯りが心の支えだ、でも所詮は消耗品だよ。この夜だってそう。消耗品だから愛おしい。愛せるー!

 

10月のあなた

10月のあなた

 

 

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